伊波普猷は、沖縄の文化・歴史・言語を多角的に研究し、沖縄学の父と呼ばれる偉大な学者です。明治9年(1876年)に那覇で生まれ、琉球の古文献『おもろさうし』を解明するなど、琉球人のアイデンティティを探求し、日本とのつながりを論じました。一生を沖縄研究に捧げ、図書館長として資料を集め、多くの著作を残しました。
生い立ち
伊波普猷は明治9年(1876年)3月15日、琉球藩那覇西村(現・那覇市西)の士族の家に長男として生まれました。父は普済、母はマツルです。廃藩置県後の明治13年(1880年)頃から沖縄県となり、日本本土の影響が強まる中、幼少期を過ごしました。明治24年(1891年)に沖縄県尋常中学校(現・沖縄県立首里高等学校)に入学しましたが、退学処分を受け、本土へ渡りました。
・本土留学後、第三高等学校(現・京都大学)を経て、東京帝国大学言語学科に進学。
・在学中から「浦添考」を発表し、浦添が首里以前の古都であることを初めて論じました。
・明治39年(1906年)に大学を卒業し、沖縄へ帰郷。
研究活動
帰郷後、明治43年(1910年)から大正13年(1924年)まで沖縄県立図書館長を務め、琉球研究資料約5千冊を集めました。特に『おもろさうし』の研究に注力し、明治44年(1911年)に『古琉球』を出版。これにより言語学・民俗学・歴史学を統合した「沖縄学」を創始しました。
・日琉同祖論を提唱し、琉球と日本の共通起源を探求。
・琉球語の母韻を五母韻説に訂正するなど、言語学に貢献。
・柳田国男や鳥居龍藏らと交流し、上京後は千代田女子専門学校講師を務めました。
主要な著作と業績
伊波の研究は沖縄の古代史、古語、古俗を明らかにし、琉球人の誇りを育みました。代表作に『古琉球』『おもろさうし選釈』『沖縄歴史物語』『日本文化の南漸』などがあります。戦後まで執筆を続け、沖縄の独自性を強調しました。
・『琉球戯曲集』『琉球戯曲辞典』で民俗芸能を記録。
・教会活動やエスペラント講習も行い、学問を超えた啓蒙家として活躍。
・批判として文献偏重や論理的飛躍を指摘する声もありますが、開拓者としての功績は大きいです。
晩年と死去
昭和22年(1947年)8月13日、比嘉春潮の宅で71歳で病没。浦添城跡近くに墓と顕彰碑が建立され、毎年8月13日に「物外忌」が執り行われます。沖縄県立公文書館には彼の琉歌が刻まれています。

